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コンクリート物語

◆構造物補修・補強工事に対する基本的考え方◆構造物の保守についての一般論
◆コンクリートの神話の崩落◆コンクリート構造物の損傷◆高度成長期の負の遺産
◆骨材資源の枯渇とセメントの生産方式の変更◆コンクリートの化学的劣化とNHK◆コンクリートの経年劣化
◆塩害について
◆アルカリ骨材反応について
◆含まれている鉱物の種類
◆凍害について◆中性化と酸性物質による劣化◆コンクリート中性化◆コンクリート強度試験 
◆アルカリ骨材反応の見分け方 
◆一般的な補修、補強の流れ◆補修補強の工法例


◆構造物補修・補強工事に対する基本的考え方 

 一般的な土木構造物の補強・補修には、劣化、損傷した、あるいはその可能性のある構造物に対して、
その性能を初期の水準以上に改善する必要があります。
補修・補強工事は、「床版補強工事」 「耐震補強工事」の他 に、代表的な工法として、
「ひびわれ注入工」 「落橋防止工」 「桁補修工」 「支承取替工」 「縁端拡幅工」 「断面修復工」などがあり、
材料面から、鋼板、炭素繊維、樹脂等を使用しています。


◆構造物の保守についての一般論

  土木構造物は、絶えず重い荷重を負担し、厳しい気候作用を受けるという悪条件に曝されています。
土木構造物という貴重な資産を保全し、寿命を延ばすため、時期を失することなく適切な維持修繕を行って
常に良好な状態に保ち、老朽化、損耗を避けるということが重要である。道路橋の寿命は、
活荷重に大きな変化がないならば、50年以上と考えられている。長期間の使用による
腐食、破損、劣化、疲労の影響などを少なくするような構造の保守を心がけなければならない。 
道路橋の維持管理で重要なことは、橋の状態を正常に正しく把握することであります。
その基本となとのは点検であり、異常があれば補修補強の対策を速やかに講することが
橋の安全と劣化防止に不可欠であります。
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◆コンクリートの神話の崩落

平成11年のJR山陽新幹線で相次いだトンネルでのコンクリート塊剥落事故を機に、
コンクリート構造物に対する不安が高まっています。高度経済成長期には構造物が大量に造られたため、
今後は老朽化する構造物が加速度的に増加することが予想され、コンクリート構造物の劣化を調査したり、
補修・補強したりする維持管理技術の重要性がますます増大しています。
一般に橋梁やカルバート類などの鉄筋コンクリート構造物の耐荷力は構造物に
配置されている鉄筋量で決まるような設計がなされている。したがって、
鉄筋腐食は構造物本体の耐荷力低下につながる劣化現象であるため、数ある調査項目の中でも、
鉄筋の腐食診断が重要になってくるわけであります。

◆コンクリート構造物の損傷

 平成11年、山陽新幹線の福岡トンネル、JR北海道の在来線の覆工コンクリートの脱
落、鉄道・道路橋のかぶりコンクリートの落下などの土木構造物の損傷事故が相続い
ています。日本海沿いの道路橋は塩害による損傷対策を続けましたが、とうとう架け替
えに到ってしまいました。
 一方、明治、大正時代のコンクリート構造物で現在も健全なものもあります。なぜコン
クリート構造物の早期劣化が起きているのか?
少子化と老齢化のを近未来に控えている現状と、戦後の復興から今日に到る我が国
の膨大なインフラの建設量を顧みる時、深刻な問題といわざるを得ません。
 損傷の原因を明らかにして、今後は、耐久性に優れたインフラを建設すると共に、耐
久性と経済性に優れた既設構造物の対策工法を開発することが求められています。

◆高度成長期の負の遺産

 高度成長期の我が国は、同時に施工技術の機械化と合理化時代をも迎えました。
コンクリート構造物の施工現場では、生コン工場からアジテーテイング・トラックで搬入
されたコンクリートがコンクリートポンプで大量に打設されました。
ポンプの圧送性ばかり重視されて、コンクリートの単位水量が大きくされたのは衆知
の通りです。
 また生産性をあげるために、コンクリート工事が分業化されたことも影響しました。
現在もそうですが、生コン業者、圧送業者、打設業者と現場作業は分業されています。
例えば圧送業者はゼネコンから1m3いくらで受注しています。単位水量の少ない
コンクリートはポンプの閉塞につながりますし、硬くなって打設業者の労力が増えま
す。生コン車のオペレーターに水を増やせと要求するわけです。
 他方、設計上の問題も付け加わりました。コンピューターの登場で、構造計算と図
面制作が分業になり、現場施工を無視した必要鉄筋量の密度とかぶり厚が登場しま
す。鉄筋密度によってコンクリートが廻らないでジャンカができる、材料分離がおきる
などの施工不良につながりました。

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◆骨材資源の枯渇とセメントの生産方式の変更

 狭い我が国は、土木建築での大量のコンクリート生産による河川の骨材供給に耐
えられず環境対策からも、川砂利、川砂の採取が禁止されてしまいました。
かわって使用されたのが砕石と海砂です。砕石はアルカリ骨材反応に、海砂は塩害
の原因となりました。
一方、高度成長期の終焉になるオイルショックは、燃料多消費型産業であるセメント
会社に深刻な出来事でした。全国のセメント向上が燃料節約型生産方式である、当
時ドイツで開発されたシステムに急速に切り替えられました。
湿式工法から乾式工法への変更です。生産性の大幅な改善と省エネルギー化方式
です。セメントの原料の粘土のアルカリ成分がセメントの高アルカリ化に繋がり、砕石
のアルカリ骨材の反応を助長することになります。

◆コンクリートの化学的劣化とNHK

 塩害とアルカリ骨材反応の警鐘を鳴らしたのは、関連業界・学会ではなくNHKでした。
ここで指摘されたのはアルカリ骨材反応と塩害による損傷ですが、むしろデイレクター
が言いたかったのは、関連業界の体質だったのではないかと考えています。

◆コンクリートの経年劣化

 アメリカでインターステイトハイウエイを中心に、損傷によってインフラの機能が失わ
れて、産業発展を阻害していると社会問題化したのは1960年代はじめです。
これらインフラは30年を経ていました。いわゆる経年劣化が指摘されました。
我が国のインフラも高度成長期、安定性長期を経て、建設時から30年を経てきまし
た。集中的に、且つ膨大に建設された我が国のインフラの機能を維持出来なければ
産業基盤そのものが崩れてしまいます。早急な対策が待たれます。

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◆塩害について

 大陸である欧米では、冬季の除氷剤として道路表面に散布された塩化カルショウ
ムまたは岩塩に起因した塩害が1960年ころから問題になり、床版の鉄筋の発錆に伴
うコンクリートのスポーリングの穴埋めが行われていました。また立体駐車場のコンク
リート床版が抜け落ちた報告もあります。
島国の我が国のそれは、いわゆる外部飛来塩分に起因した損傷が昭和50年(19
75年)代後半から特に東北地方の日本海岸で散見され、建設省の直轄道路の海岸
線から500m以内の全橋梁が調査され、その損傷の程度によって、地域をランクわけ
しました。損傷が大きい地域は山陰、北陸東北地方から北海道の日本海側および
沖縄と報告されています。

従来、コンクリート中の鉄筋は、セメントのアルカリ性によって、表面に不働態皮膜
(20〜60Åの薄い酸化皮膜)を形成し腐食から錆びないと考えられてきました。
しかし、塩素イオンは鋼材表面の不働態皮膜を破壊し、鋼材を活性態に変化
させます。活性態にある鋼材の表面では、鉄がイオン化するアノード反応(酸化反
応)と酸素が還元するカソード反応(還元反応)が生じて、腐食電池を形成します。

  アノード反応 : Fe→Fe2+2e
  カソード反応 : O2+2H2O+4e→4OH-

このアノード、カソード反応は同時並行的に起こって、水酸化第二鉄[Fe(OH)2]と
なります。これが錆です。
外部飛来塩分による劣化に加えて、瀬戸内海地方では海砂が使用され、山陽新
幹線に代表される損傷の原因となりました。高度成長期には工期の短縮の為に、
コンクリートの硬化を促進して型枠の脱型を早くするために、塩化カルシウムが使用
されることもあり、塩害を助長してしまいました。
錆は元の鋼材の2.5倍に体積膨張し、この膨張圧によって、コンクリートにひび割れ
や剥離が生じ、ひいては断面不足をきたして、構造物の耐荷力そのものに影響を及
ぼしてしまいます。

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◆アルカリ骨材反応について

1.アルカリ骨材反応の顕在化
 アルカリ骨材は粗骨材が河川から採取できなくなって、砕石が使用され出してか
ら発生しました。アルカリ骨材反応は、骨材の鉱物組成のある種の成分が、セメン
トコンクリート中のアルカリ成分と反応して、膨張することに起因します。

 昭和30年代後半からの高度成長期を続けた、我が国では公共構造物のみならず
民間建造物の建設が大規模に行われ、その主用材料として膨大な量のコンクリート
が使用されました。
河川砂利ではアルカリ反応性骨材は自然淘汰的に除去されてしまいますが、その採
取量が多すぎて橋脚の潜堀、自然破壊につながり、各地の河川で砂利の採取が
禁止され、必然的に骨材資源は砕石に置き換わっていきました。
 アルカリ骨材反応が散見されはじめた初期は、関連業界でもごく特殊な現象とさ
れ、左程大きな問題だとの認識は一部を除いて薄く、そのために対策が遅れて被
害が広がってしまいました。
昭和57年(1982年)阪神高速道路公団が「反応性骨材コンクリート調査委員会」を
組織し、瀬戸内海の豊島から供給された輝石安山岩によるアルカリ骨材反応の調
査がはじめられました。
この島の砕石の採掘跡が産業廃棄物の処分場となり、その二次公害をめぐって島民
が香川県と行政訴訟を長く続けたことは、産廃処分場の代表的社会問題として、マス
コミで大きく取り上げられました。
 昭和58年、先のNHKテレビのキャンペーン「警告!コンクリート崩壊・しのびよ
る腐食」で一躍社会的関心を呼び、建設省、道路公団、学会他で、全国の骨材調
査が実施されます。その結果、驚くべき範囲で当該種類の骨材が生産され、使用さ
れてきたことが判明しました。

 アルカリ反応はコンクリートの癌であると喝破した学者がいます。
概に建造された構造物のアルカリ骨材反応を防止する根本的方法は、造りなおすこ
とですが、供用中の道路・鉄道では実質的に困難で、現状以上の反応の進行を防
止するためにライニング膜を形成してコンクリート中に水分と酸素の侵入を防止する
消極的な対策が実施されましたが、耐久性に問題あって取り壊されるに到った橋梁
も少なくありません。

2.アルカリ・シリカ反応のメカニズム
 アルカリ骨材反応とは、セメントとは、セメント中に含まれているNa2O、K2Oのアル
カリ成分と骨材中のシリカ成分が化学反応し、その反応生成物が膨張してコンクリー
トを損傷する現象をいいます。
この反応には、骨材の主成分によってアルカリ・シリカ反応とアルカリ・炭酸塩反応
とがありますが、現在我が国で問題になっている大半はアルカリ・シリカ反応です。

@コンクリート中のアルカリ成分
コンクリート硬化体はその容積の細骨材・粗骨材が70〜80%、セメント硬化体組織
が20〜30%の比率になっています。セメント硬化体組織は、水和結晶物と未水和セ
メント鉱物及び気泡・ゲル空隙・毛管孔隙等の空隙で構成されています。

 コンクリートは一般的に締め固めによって混練中に巻き込まれたエアはかなり脱泡
されますが、構成材料の比重差による材料分離による空隙は避け得ません。通常こ
れら空隙はコンクリート中の10数%程度とされています。
 またセメントの硬化機構上不可避的にできる毛管孔隙は1/10〜1/1000oの細孔
径です。この毛管孔隙は連続していることが多く、通常Na+、K+のイオンを含むアルカリ
液で満たされ、物質移動の通路となります。

Aアルカリ・シリカ反応骨材
 シリカは石灰岩以外の岩石中に40〜80%含有される一般的な鉱物です。アルカ
リ・シリカ反応はこのシリカ分が先のコンクリート中の強アルカリで溶解して、ア
ルカリ珪酸塩ゲルになり、このゲルが水を給水して膨張し、その圧力でひび割
れを発生させるに到る現象です。

 石英のように結晶質シリカは、低アルカリ性あれば安定でsuga、pH10以下だと10
0ppm程度溶解します。これに比べて結晶度が悪い非結晶質のシリカの溶解度は
pH10以下だと1000ppmに達します。また結晶度がよくも、その結晶が小さいとア
ルカリとの接触面積が大きくなって、アルカリ・シリカ反応がおきます。

 ちなみに阪神地区でアルカリ・シリカ反応によるコンクリート劣化の原因のひとつで
ある豊島は輝石安山岩です。
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含まれている鉱物の種類

 プレートの隆起によって形成され、造山活動が繰り返されてきた我が国にはアルカ
リ・シリカ反応性鉱物を含有する火山岩・堆績岩・変成岩が全国各地に存在していま
す。
 したがってコンクリート用砕石骨材は慎重に選別される必要があるわけです。  
セメントのアルカリ成分増加の議論
 昭和48年(1973年)我が国は第一次オイルショックに襲われました。燃料消費型
産業であるセメント各社は、セメントの製造方法を従来の湿式法から乾式法であ
るSP、NSP(New Suspension Pre-heating)キルンに一気に変換していきました。
省エネルギー化と同時に量産化が可能で、加えてNOxが大幅に減少できたからで
す。
 この生産方式で、従来の方式に比して燃料は約40%節約でき、生産量は50%増
大します。
ところがこの製造システムがセメントのアルカリ成分とSO3-イオンの増加をもたらす原
因になったとする説があります。
 このNSP法はセメント原料をエアレーションで粉体混合しますが、このエアはキルン
の余熱を利用したエアで、セメント原料をプレヒーティングして省エネルギーを可能に
します。
この余熱の循環によってアルカリ成分の凝縮がおこって、セメントのアルカリ成分
量が大きくなるとし、SO3-イオンの増加は燃料を石炭化またはC重油との混焼にした
ことに起因するとする説です。

 セメント協会は、「従来からの製造設備とNSP方式に基本的な差はなく、アル
カリ・シリカ反応は骨材資源の枯渇によって、砕石に置き換わったことがその
主因である。
 加えて、「セメントのアルカリ量を0.6%以下にするためには、セメント原料で
ある粘土を選別せざるを得ず、コスト増につながる。」したがってアルカリ反応を
起こしうる骨材を使用せざる得ないときには低アルカリセメントを供給するほうが、国
民経済的に合理的であると反論しました。

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◆凍害について

 寒冷地における凍害は、道路の縁石、橋梁構造物、ダムほか多くの土木構造物の
耐久性を阻害します。凍害対策は特に北海道において実施されてきました。
脆弱な劣化部を除去して健全な付着界面をハツリだし後、断面修復を行いますが、
修復剤として必要な機能は下記の通りです。

T)透水係数が小さいこと。
U)厚付け左官が可能であること。
V)付着強度が大きいこと。
W)乾燥収縮率が600×10-6以下であること。
X)弾性係数が旧コンクリートと近いこと。
Y)熱線膨張率が旧コンクリートと近いこと。

 以上の諸点を満たす各種材料が開発されましたが、その多くは繊維補強ポリ
マーセメントモルタルが使用されてきたようです。

◆中性化と酸性物質による劣化
 経済成長によって大気中の炭酸ガス濃度が大きくなったことに加え、コンクリートの品
質もポンプ打設を簡便にするために、単位水量が多くなって、中性化速度が速くなって
いるとの報告が散見されてきました。コンクリートの中性化深さが鉄筋位置に達すると鉄
筋の腐食につながります。鉄は酸化鉄になると体積膨張し、かぶりコンクリートの剥落の
原因となり、特にかぶりの薄い壁高欄で剥落が多く見られるようになりました。
他方、車両の排気ガスを主因とするN0x、SOxの濃度も大きくなり,酸性雨の原因にな
ってコンクリートを劣化させ、コンクリートの腐食という新たな劣化の範疇が登場しまし
た。
コンクリートの防食ライニング材に加えて、アルカリ性回復(付与)剤が開発されまし
た。防食ライニング材として、エポキシ樹脂に加えて有機塗装系材料が主流ではあっ
たが、ポリマーセメントモルタル系材料も多く登場しました。アルカリ性回復(付与)剤
の代表的なものは珪酸リチウムシリケート系材料です。
コンクリート補修材の分野に、圧縮、曲げ、付着、収縮率などの物性に加えて新たな機
能が求められ始め無機、有機の複合材料の登場の第1歩であったといえます


◆コンクリート中性化  
鉄筋コンクリートとは、空気に触れるとさびる鉄を高アルカリ性のコンクリートで保護するものだが、
このコンクリートが年数が経つにしたがって大気中の炭酸ガスと化学反応をおこし徐々に中性化してくる。
もしこの中性化が鉄筋のある部分まで進むと鉄筋がさびて膨張を始め表面のコンクリートがはがれる爆裂現象が起こる。  


◆コンクリート強度試験 
コンクリートの強度、圧縮強度を測定し、所定の強度があるか判定します。
試験の方法は、コンクリートからボーリングマシンで穴を開けて、円柱型の供試体を採取して
直接強度を測定する方法と、コンクリートを破壊することなく、表面に測定機(シュミットハンマー)を
あてて計測する方法があります。供試体採取の場合は後述する中性化試験を併せて行います。 


◆コンクリート中性化試験 
鉄筋を錆びさせてしまうコンクリートの中性化。その中性化がどの程度進行しているかを調査します。
強度試験と同様に供試体を採取する方法と、コンクリートの一部をドリルなどで削って調査する方法があります。
いずれの場合も、コンクリートに試薬(フェノールフタレイン溶液。アルカリ性で赤を呈する)を
吹き付け中性化の進行具合を調査します。 

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◆アルカリ骨材反応の見分け方 

 コンクリート構造物に入っているひび割れが、アルカリ骨材反応によるひび割れであるかどうかを、
どうやって見分けたら良いだろうか。 骨材が有害であるかどうかの判定には、前述した化学法、モルタルバー法が
一般に用いられるが、アルカリ骨材反応を見慣れた人にとっては、その構造物の劣化状態を見ただけで、
ほぼ100%の確率で判定することができる。 最初に写真でお見せしたような亀甲状のひび割れは、
無筋に近いコンクリートやかぶりの非常に大きな構造物で見られるが、必ずしもそのような例ばかりではない。 

2) ひび割れは網目状か。長軸方向に沿って入っていないか。
 無筋に近いコンクリートでは、ひび割れは亀甲状に入るが、膨張が鉄筋で拘束される場合には、
長軸方向に沿って入ることが多い。下の写真を見ていただくとわかると思うが、柱、梁のセンターの部分に
長軸方向にひび割れが入っている。これは主筋方向の膨張は鉄筋拘束により抑制されるため、
フープ筋方向に膨張力が働き、ちょうどそのセンターの部分に力が集中した結果である。
通常の乾燥収縮のひび割れが軸方向に垂直にほぼ等間隔で入るのと顕著に異なる点である 
 

(3) ひび割れ幅が異常に大きくないか。ひび割れ部に段差が生じていないか。
 コンクリートの乾燥収縮率は通常0.1%以下であるのに対して、アルカリ骨材反応のよる膨張率は
往々にして0.5%程度にまで達する。 従って、乾燥収縮のひび割れ幅は概ね0.5mm程度に止まるのに対して、
アルカリ骨材反応によるひび割れは、無筋に近い状態のコンクリートでは、たばこが1本が
丸ごと入ってしまうようなことが良くある。また、コンクリートがせりあがるようにして膨張するため、
ひびわれ部に段差を生じていることがある。 

(4) 雨がかり部にひび割れが集中していないか。
 アルカリ骨材反応の進行には、水が供給されることが必須条件である。一つの構造物の中で雨かかり部に
ひび割れが集中していたら要注意である。但し、凍害危険度の高い地域では、同じようなひび割れであるため、
判断が難しい。 

(5) コンクリートがピンク色に変色していないか。
 この原因はよくわからない。コンクリートのアルカリ性が高いことが影響しているものと思われるが、
なぜかアルカリ骨材反応を起こしているコンクリートはピンク色になっていることが多い。 

 その他にも幾つかポイントがあるが、前記@〜Dの複数項目に該当しているようであれば、
アルカリ骨材反応を疑っても良い。 
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◆一般的な補修、補強の流れ

@点検・調査

設計図書の確認、目視等によるクラック、遊離石灰等の点検、ひずみによる応力測定、レーダーによる鉄筋探査、薬品による中性化検査等による現況の調査。

A診断

点検・調査の結果をふまえ、耐震対策や橋梁の活荷重の増加(T-20→T-25)を考慮にいれて補修、補強の要否の判定。

B工法検討・設計

その構造物の諸処の条件に最適の工法を選択し、目標に応じた設計を行う。

C施工

補強材等が既設コンクリートと十分に一体化するように特に留意し慎重に施工を行う。

D点検・調査

  *中性化深度測定

   フェノールフタレイン指示薬により、着色界面までの深さを測定する。

  *配筋調査

   電磁波レーダーにより鉄筋探査を行い配筋調査をする。又場合によりコンクリートを斫り、直接、配筋の確認を行う。



◆補修補強の工法例

  *連続繊維エポキシ樹脂接着・巻きたて工法
   炭素繊維シート等を接着又は巻きたてし、部材の補強を行なう。

  *鋼板接着・巻立て工法
   鋼板を接着又は巻立て、樹脂材等により、部材と一体化させ補強する。

  *外ケーブル工法
   長年の車輌の通行や重量化、経年変化によるプレストレスの減少等に対処する為、新たにケーブルを設置し、ストレスを導入する方法で、橋梁等に使用する。

  *増厚・巻きたて
   部材にコンクリートを打ち足して増厚したり、鉄筋を配金し、高強度コンクリートや樹脂系コンクリート等を打ち足して一体化させ、断面を増圧して補強する。

  *スラリーダイレクトインジェクションジェット工 法
   硅砂を混入した水を加圧噴射させ、コンクリートの劣化部分の洗浄などを行う。

  *ジョイントの補修
   交通量の増大や重量化による耐力の不足等に対処する為、既存のジョイントを撤去し取り替える。

  *樹脂等によるひび割れ補修
   エポキシ樹脂等をひび割れに注入し充填し補修する。

  *断面復旧
   劣化部を除去後、鉄筋の錆を除去し、防錆材塗布後樹脂系セメント等で断面の復旧を行なう。

  *表面被覆
   さらにエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等にてライニングし表面を被覆し経年劣化からコンクリート構造物を守る

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